復興祈り三匹獅子舞 仮設で2年ぶり復活

■計画的避難区域の川俣町山木屋 遠藤政見 保存会会長77
計画的避難区域に設定された川俣町山木屋地区に400年前から伝わる三匹獅子舞が2年ぶりに復活し、7日、町内の農村広場仮設住宅広場で奉納された。「古里を取り戻そう」。本来は五穀豊穣(ほうじょう)の願いが込められるが、三匹獅子は復興を祈って勇壮に舞った。
三匹獅子舞は毎年10月、山木屋地区の八坂神社にささげられる。農作物を食い荒らす獣を沈めるための儀式として始まり、山木屋地区の上組と下組が1年交代で執り行っている。長い歴史を持つ伝統行事は昨年、東京電力福島第一原発事故で中止になってしまったが、地域文化を後世に残そうと三匹獅子保存会の遠藤政見会長(77)が中心となって奔走。復活にこぎ着けた。
氏子の家に保管されていた獅子の面は、住民が避難してから腐食が進み、ぼろぼろだった。遠藤会長は町などから資金援助を受けて手作業で修復し、獅子役の中学生が履く草履も自身で編んだ。
昨年の担当だった上組の山木屋中の男子生徒3人が獅子舞を披露し、詰め掛けた大勢の避難者が見物した。稲穂をかたどった「ささら」と呼ばれる道具には、「復興」や「一緒に帰ろう」と住民の願いが書かれた短冊が飾られた。
復活した獅子舞を見守った遠藤会長は「いつの日か山木屋で舞わせたい。必ず実現させる」と懸命に踊る三匹獅子に祈りを込めた視線を送っていた。