日本酒で観光復興 「会津長床」発売 国重文とコラボ

■喜多方 会津酒類卸
会津酒類卸(本社・喜多方市)は市内の国指定重要文化財・新宮熊野神社「長床」を商品名にした日本酒「秘酒辛口 会津長床」を8日から販売する。東京電力福島第一原発事故の風評で落ち込んだ日本酒の消費回復と市内の観光復興の起爆剤にしようと考案した。五十嵐雄一社長(61)は「長床と喜多方の日本酒を多くの人に知ってほしい」と願っている。
会津酒類卸は原発事故後、日本酒の販売量が約3割落ち込んだ。「安全性を理解している分、もどかしかった」と五十嵐社長。若い世代の日本酒離れに拍車が掛かった。
消費の落ち込みにつながる観光客減少も悩ましかった。「被害に耐えるより発信しよう」と決意した。市内の代表的観光地・長床とのコラボレーション商品を考えた。
長床を管理する新宮地区重要文化財保存会が名前の使用を快諾してくれた。同保存会と相談し、すっきりした味で飲みやすい市内の吉の川酒造店が製造する辛口を採用した。ラベルは被災者支援に取り組む「喜多方復興支援隊」の菊地広明さん(62)がデザインした。
7日、新宮集会所で発表会を開いた。同保存会の上野喜一会長(67)は「お互いのPRになる」と新商品の誕生を歓迎し、同酒造店の冠木孝代表社員(62)は「喜多方に元気になってほしい」と期待した。五十嵐社長は「飲み続けてもらうことで復興支援を継続したい。積極的にPRする」と決意を披露した。
「秘酒辛口 会津長床」は720ミリリットル入りで希望小売価格は1300円(税別)。8日から市内の小売店と道の駅・喜多の郷で販売する。1本当たり20円を震災義援金に充てる。アルコール度数は15度以上16度未満。問い合わせは会津酒類卸 電話0241(22)6331へ。