(3)《独自色》ストーリーを追求 つきだてやさい工房(伊達)

キャラクターを活用したポスターを確認する服部。ストーリーの伝わる絵柄を追い求めた
キャラクターを活用したポスターを確認する服部。ストーリーの伝わる絵柄を追い求めた

 キャラクターの力で伊達市月舘町の農産物直売所「つきだてやさい工房」を盛り上げ、月舘地区全体を活気づける-。店長の三浦いつぎ(60)が語るアイデアは熱く、ユニークだった。相談を受けた福島大経済経営学類研究員の服部正幸(30)は即答した。「面白い。お手伝いしますよ」


 服部は二本松市出身。福島南高から長岡造形大(新潟県長岡市)に進んだ。環境デザイン学科で建築やまちづくり、文化財保存を学び、在学中に起きた中越地震の被災地を度々訪れた。東京都で会社員をしていた時に東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が発生すると、古里復興へのヒントを得ようと復興支援員として中越に戻り、集落再生に携わった。平成二十四年に福島大に移り、中山間地の農業の再生や産品のブランド化を研究している。

 やさい工房には味や品質、値段ともに消費者受けする商品が並んでいた。納品する農家は熱心だが、良さを伝え切れていないという印象だった。ライバルは多い。直売所は県内に二百カ所以上あり、月舘周辺にも伊達市内や川俣町にある。各店は企業やJAと連携した六次化商品や新たな産品の開発など特色を出そうと工夫を重ねている。

 キャラクターは他施設との差別化を図るだけではなく、メッセージ性を込めて消費者の関心を引き寄せる内容にしたい。“中身”に詰めるストーリーを求めて二十七年四月からほぼ一年をかけて月舘の集落をくまなく歩いた。震災と原発事故後の会員農家の苦労をはじめ、土地の歴史や風土、産業構造、食文化など調査項目は多岐にわたった。

 「月舘の歩みや、やさい工房の皆さんを表現できるモチーフはこれしかない」。思索を重ねた結果、一つの答えにたどり着いた。(文中敬称略)