(6)《展開》若い力で次の一歩 つきだてやさい工房(伊達)

デザインの活用法について意見を出し合う(左から)佐藤、森、三浦、服部
デザインの活用法について意見を出し合う(左から)佐藤、森、三浦、服部

 伊達市月舘町の農産物直売所「つきだてやさい工房」店長の三浦いつぎ(60)は若手の女性会員三人を迎え、キャラクターの活用や店の今後の運営を考える「プラする会」を組織した。

 昨年末、三浦と福島大経済経営学類研究員の服部正幸(30)、野菜や手工芸品を納めている佐藤恵美子(50)、果樹農家森操(みさお)(43)が直売所に集まり、会の役割や店の方向性を話し合った。「キャラクター作りを機に新たな加工品を開発したらどうか」「若い母親にお店に来てもらえるきっかけを考えよう」。活発に意見を交わした。

 新年から来店者にプレゼントしている店の紹介カードのほか、のぼり旗の作成、約十年ぶりにデザインを更新するエプロンへの活用などさまざまなアイデアが生まれている。


 昭和二十五年に約八千人いた月舘の人口は、昨年までに半分以下の約三千八百人に減った。今後も人口増は望めず、商圏がさらに小さくなる懸念も残っている。

 「新たな顧客を本気で開拓するには若手の力が必要だ」。三浦は佐藤、森に野菜や加工品を出している結城菜穂子(31)を加えた三人にその役割を期待する。キャラクターの展開に知恵を絞る経験を通し、将来は直売所の運営の中核を担う存在になってほしいとの願いもあった。

 震災と原発事故から三月で丸六年を迎えるのを前に、月舘の近隣では復興に向けた施設整備が続く。平成二十九年度は飯舘村中心部、伊達市霊山町に直売所機能を備えた「道の駅」が開所する見通しだ。

 新たな直売所への関心が高まる中、キャラクターの誕生がすぐに事態を好転させはしないことは承知の上だ。それでも三浦はひるまない。「小さな一歩でも、踏み出せたことが大きい」と意義を強調した。(文中敬称略)