(12)《頂を目指す》最高の米 探求続く いなわしろ天のつぶ

販売戦略を話し合う土屋と小板橋(右)
販売戦略を話し合う土屋と小板橋(右)

 猪苗代町産米「いなわしろ天のつぶ」の本格的な輸出が昨年六月に始まった。販売先はカタールの首都ドーハにある高級スーパー「モノプリ・ドーハ店」。店頭で振る舞った炊きたての米を味わい人々は親指を立てた。おいしい-。現地の消費者に受け入れられた瞬間だった。町プロジェクトチームの小板橋敏弘(47)は目頭を熱くした。


 現在、カタールのドーハ、UAEのドバイとアブダビの計三都市で販売している。昨年末までの総輸出量は約一・二トンに上った。UAE国内では二十八年秋からインターネットによる通信販売も始まった。

 消費者の心を捉え続けるため認定生産者制度を導入し、厳格な生産基準を独自に設定している。計画当初から参画する生産者の一人、土屋勇雄(56)を中心にJA会津よつば猪苗代稲作部会ブランド化促進班を設立。米粒の大きさを直径二ミリ以上とするなど徹底した生産体制を構築した。

 認定生産者の米作りは高く評価され、二十八年十月に開催された「第三回すし米コンテスト・国際大会」(主催・米・食味鑑定士協会)ですしの最好適米とされる特Aランク賞を獲得した。初出品での受賞は快挙だった。

 土屋の持論は、生産者は消費者とのつながりを大切にしなければならない-だ。国内外問わず商談会に足を運び直接、魅力を訴えている。二月には地元生産者らと香港などに渡航し、さらなる市場開拓を目指す。

 三十年産米から国による生産調整(減反)が廃止される。産地間競争に一層拍車が掛かると予想されている。町プロジェクトチームの究極の目標は「世界一のすしライス」だ。頂を目指す挑戦は続く。(文中敬称略)